医療保険の解約を決断!病気やケガの治療費が貯金で十分対応できる理由とは

節約

こんにちは!

今回、家計の支出見直しの一環として、民間保険の加入状況を振り返りました。

現在、加入している保険は以下の通りです。

■火災保険
 目的:住宅が火災により損傷を受けた場合、修理費用をカバーする

■自動車保険
 目的:自動車事故を起こした場合、多額の賠償金をカバーする

■収入保障保険
 目的:私たちが亡くなった場合、子供の学費や養育費をカバーする

■医療保険
 目的:病気やケガに見舞われた場合、損失額(医療費と収入減)をカバーする

その中で、とくに医療保険の見直しを行い、今回はその結果についてお話しします。

具体的には、以下の内容をお伝えします。

加入している医療保険の保障内容の確認
病気やケガに対して医療保険が適用されるケースを想定し、国の社会保険制度や勤め先の健康保険制度を利用した上で、損失額を概算
結果として、損失額は貯金で十分に対応できる範囲であり、医療保険を解約

民間の保険会社は営利組織であるため、保険料の一部が経費や利益などの手数料に充てられます。

そのため、加入されている方や、加入を検討されている方は、保障内容を再確認して、万が一の場合貯金で対応できるか一度考えてみてはいかがでしょうか。

不要な支出を避け、家計の改善につながるかもしれません。

※本記事は、筆者が医療保険を見直した際の実体験をもとにまとめたものです。保障内容やその必要性は人それぞれ異なりますので、変更や解約を検討される際は、ご自身の契約内容をよくご確認のうえ、判断をしてください。

保障内容の確認

加入していた医療保険は、「三大疾病に備える保険」と「入院に備える保険」の2つです。

それぞれの保険の保障内容は以下の通りで、保険料は合わせて月額2,500円です。

■「三大疾病に備える保険」

保障内容保険期間支払期間給付金額
がん一時給付金終身終身500,000円/回
心疾患一時給付金終身終身500,000円/回
脳血管疾患一時給付金終身終身500,000円/回

■「入院に備える保険」

保障内容保険期間支払期間給付金額
入院給付金終身終身5,000円/日
手術給付金終身終身(入院中)100,000円/回
(外来)25,000円/回
入院一時給付金特約終身終身50,000円/回
※七大生活習慣病(がん、心疾患、脳血管疾患、糖尿病、高血圧性疾患、肝硬変、慢性腎臓病)は除く

医療保険の継続検討

それぞれの医療保険を継続するかを検討するため、万が一病気やケガに見舞われた場合を想定して、損失額を概算しました。

損失額は、「病院での自己負担額」と「収入の減少額」を合計した金額です。

もし、損失額が貯金で備えられる範囲なら、保険を解約した方がよいと考えています。

民間の保険会社は営利組織であるため、保険料の一部が経費や利益などの手数料に充てられます

そのため、実際に受け取る給付額は、支払った保険料を下回る可能性が高いと考えられるからです。

医療費の概算

病院での自己負担額を算出するため、まずはそれぞれの医療保険が適用されるケースを想定して、医療費と入院日数を概算します。

■「三大疾病に備える保険」
適用されるケースは、がん、心疾患、脳血管疾患が発症した場合です。

それぞれの治療について、入院時の平均的な医療費と入院日数は、以下の通りです。

平均医療費平均入院日数
がん668,874円11.3日
結腸679,963円10.7日
直腸S状結腸移行部・直腸791,798円11.5日
肝・肝内胆管673,051円10.5日
気管・気管支・肺733,932円11.0日
乳房618,330円8.5日
子宮677,965円9.1日
悪性リンパ腫1,200,748円14.8日
白血病1,825,901円18.1日
心疾患896,762円12.1日
脳血管疾患735,655円20.5日
出典:政府統計の総合窓口, 医療給付実態調査, 「統計表 第3表  疾病分類別、診療種類別、制度別、件数、日数(回数)、点数(金額)」, 2022年度

医療費が最も高い疾患は白血病で、180万円以上に達することがわかります。

また、入院日数が最も長い疾患は脳血管疾患で、約21日であることがわかります。

■「入院に備える保険」
適用されるケースは、ケガまたは七大生活習慣病以外の病気による入院です。

代表的な治療について、入院時の平均的な医療費と入院日数は、以下の通りです。

平均医療費平均入院日数
骨折675,341円16.6日
頭蓋内・内臓の損傷655,157円16.2日
腎不全653,619円17.5日
肺炎549,385円14.3日
関節症983,705円14.9日
出典:政府統計の総合窓口, 医療給付実態調査, 「統計表 第3表  疾病分類別、診療種類別、制度別、件数、日数(回数)、点数(金額)」, 2022年度

医療費が最も高い疾患は関節症で、100万円近くまで達することがわかります。

また、入院日数が最も長い疾患は腎不全で、約18日であることがわかります。

病院での自己負担額の算出

そこで、平均より高めに見積もり、医療費200万円、入院日数30日を想定し、病院での自己負担額を算出しました。

原則3割負担制度

国の健康保険制度では、医療費の窓口負担は原則3割です。

残りの7割は保険者(健康保険組合や国民健康保険など)が負担する仕組みとなっています。

出典:厚生労働省「医療費の自己負担

そのため、今回医療費は200万円発生しましたが、窓口負担は60万円(=200万円×3割)となります。

高額療養費制度

窓口負担が60万円となると大きく感じられるかもしれませんが、高額療養費制度のおかげでさらに自己負担額は軽減されます。

年収が平均的で30代の人なら、月々約10万円に抑えられます。

高額療養費制度とは、同一月(月初めから終わりまで)で医療機関の窓口で支払った金額が、自己負担限度額を超えた場合、超過した費用は払い戻されるという仕組みです。

そのため、実際の自己負担額は自己負担限度額となります。

自己負担限度額は、年齢や年収によって変わりますが、70歳未満の場合は以下の通りです(2025年3月時点)。

年収月単位の上限額(円)
約1,160万円~252,600+(医療費-842,000)×1%
約770万円~約1,160万円167,400+(医療費-558,000)×1%
約370万円~約770万円80,100+(医療費-267,000)×1%
~約370万円57,600
住民税非課税35,400
出典:厚生労働省「医療費の自己負担

そのため、医療費が同一月に200万円発生した場合でも、年収が平均的で30代の人なら、自己負担額は97,430円に抑えられます

出典:厚生労働省「医療費の自己負担

ただし、以下のような費用は治療や診療とは直接関連しないため、全額自己負担となります。

・食事代:490円/食
 出典:厚生労働省「第191回社会保障審議会医療保険部会資料, 資料2」
・日用品代:1,500円/日を想定
・差額ベッド代:8,322円/日(1人部屋を想定)
 プライバシーが確保された環境での入院を希望する場合のみ、発生する費用
 出典:厚生労働省中央社会保険医療協議会 総会(第548回)議事次第, 総-3-2

病院での自己負担額は、以下の通りです。

医療費の
自己負担額
食事代日用品代差額ベッド代合計(病院での自己負担額)
差額ベッド代含む差額ベッド代除く
194,860円44,100円45,000円249,660円533,620円283,960円
※194,860円=97,430円/月×2ヵ月

自己負担限度額は月ごとに設定されているため、入院期間が月をまたぐかどうかによって異なります。

今回は入院期間が月をまたぐことを想定して算出しました。

付加給付制度

勤め先の健康保険組合には付加給付制度があるため、さらに医療費の自己負担額が軽減されます。

具体的には以下の通りです。

・1ヵ月ごと、1人ごと、医療機関ごとの自己負担額から、30,000円を超過した費用は払い戻される
・治療や診療とは直接関連しない費用(食事代、日用品代、差額ベッド代など)は対象外

そのため、医療費が同一月に200万円発生した場合でも、自己負担額は30,000円に抑えられます

高額療養費制度と同様に、付加給付の自己負担額は月ごとに設定されているため、入院期間が月をまたぐかどうかによって異なります。

こちらも入院期間が月をまたぐことを想定して算出しました。

医療費の
自己負担額
食事代日用品代差額ベッド代合計(病院での自己負担額)
差額ベッド含む差額ベッド除く
60,000円44,100円45,000円249,660円398,760円149,100円
※60,000円=30,000円/月×2ヵ月
 食事代、日用品代、差額ベッド代は、高額療養費制度について説明した際と同じ費用を想定しています

収入の減少額

今回、入院期間を30日間と想定していますので、収入には影響ありません。

毎年、20日間の有給休暇が支給され、すべて使い切った場合でも積立休暇が30日あるため、合計50日間は勤め先を休んでも、欠勤扱いにはならないためです。

検討結果

「三大疾病に備える保険」と「入院に備える保険」の医療保険を継続するかを検討するため、病気やケガに見舞われた場合を想定して損失額を概算しました。

損失額は、「病院での自己負担額」と「収入の減少額」を合計した金額です。

これらの保険が適用されるケースを想定し、医療費200万円、入院日数30日と仮定しました。

勤め先の付加給付制度を利用した場合の損失額は、以下の通りです。

病院での自己負担額収入の減少額損失額
医療費の
自己負担額
食事日用品差額ベッド
差額ベッド有差額ベッド無
60,000円44,100円45,000円249,660円0円398,760円149,100円
※60,000円=30,000円/月×2ヵ月

・医療費の自己負担額:
 付加給付制度を利用することで、医療費の実質的な上限は30,000円(1ヵ月ごと、1人ごと、医療機関ごと)
・食事代:490円/食
・日用品代:1,500円/日
・差額ベッド代:8,322円/日(1人部屋を想定)
・収入の減少額:30日間であれば有給休暇と積立休暇でカバーでき、欠勤扱いにはならない

入院中の環境にはこだわりがないため、差額ベッド代は考慮せず、損失額は149,100円を想定しました。

実際には他にも費用が掛かる可能性がありますが、30日間の入院期間では20万円~30万円の間に抑えられるのではないかと考えています。

また、退院後に通院が必要な場合でも、付加給付制度のおかげで医療費は毎月30,000円までに抑えられます。

よって、生活防衛費として年間生活費の半分程度を貯金しているため、万が一病気やケガに見舞われた場合でも十分貯金から対応できると考え、医療保険を解約しました。

まとめ

家計の支出見直しの一環として、民間保険の加入状況を振り返り、その中で医療保険を見直しました。

具体的には、以下を実行しました。

加入している医療保険の保障内容の確認
病気やケガに対して医療保険が適用されるケースを想定し、国の社会保険制度や勤め先の健康保険制度を利用した上で、損失額を概算
結果として、損失額は貯金で十分に対応できる範囲であることがわかり、医療保険を解約

民間の保険会社は営利組織であるため、保険料の一部が経費や利益などの手数料に充てられます。

そのため、加入されている方や、加入を検討されている方は、保障内容を再確認して、万が一の場合貯金で対応できるか一度考えてみてはいかがでしょうか。

また、加入中の健康保険に付加給付制度が設けられている場合、医療費の自己負担額が想像以上に軽減される可能性があります。ぜひ、確認してみてください。

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