こんにちは!
私たちは、固定費を中心に節約を行い、浮いたお金を現金貯金と株式投資に回し、将来の支出に備えています。投資先は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(略称:オルカン)という投資信託です。この商品を1つ購入するだけで全世界の株式に分散投資できる上、手数料が非常に安い点が魅力です。
今回は、私たちが実践している将来の支出対策について、以下の5つのポイントに焦点を当ててご紹介します。
・将来必要となる支出
・生活防衛費の確保
・現金貯金だけでなく株式投資も行う理由
・投資商品としてオルカンを選んだ理由
・現金貯金とオルカン投資の割合
現金と株式の特徴を理解してうまく活用することで、効率的に将来の支出に備えることができます。具体的な方法については、以下の本文で説明しますので、ぜひご覧ください。
将来必要となる支出
私たちは現在、2人の小さな子供を育てながら、マイホームを所有している30代前半の夫婦です。
将来必要となる支出の中には、大きな金額がかかるものがいくつかあります。そのため、今から計画的に貯蓄し、将来に備えています。
以下に、近い将来(5年以内)と遠い将来(15年~20年以上後)に必要となる支出をまとめました。
■近い将来(5年以内)
・家電(洗濯機、冷蔵庫など)の買換え費用:数10万円
・家具(ベッドなど)の買換え費用:10万円程度
・旅行の費用:数万円~数10万円
■遠い将来(15年~20年以上後)
・車の買換え費用:200万円程度
・子供の大学費用:~1000万円程度
・家の修繕費用:数100万円~1000万円程度
・老後の生活費用:2000万円~
生活防衛費の確保
これらの将来の支出に備えて、現金貯金と株式投資を活用していますが、まずは生活防衛費として年間生活費の半年分程度を現金で確保しました。
目的は、予測が難しい突発的な収入減や支出増から生活を守るためです。具体的には、勤め先の業績悪化による収入減、または病気や事故による収入減や支出増などです。
また、後ほど説明するように遠い将来の支出には株式投資で備えています。生活防衛費を確保することで、定期的に訪れる株式市場の暴落時にも安心して投資を続けることができるようになります。
金額は少し心もとないと感じるかもしれませんが、私たちは共働きであるため収入源は分散されています。また、万が一どちらかが病気や事故などで一時的に働けなくなった場合でも、国から傷病手当金が最長で1年6カ月間、月収の3分の2程度支給されるため、あえて大きな金額を確保しませんでした。
現金貯金とオルカン投資を活用した支出対策
まず結論として、将来必要となる支出のために、近い将来(5年以内)は現金で備え、遠い将来(15年~20年以上後)は全世界の株式に分散投資ができる投資信託に投資して備えています。投資信託の具体的な銘柄は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(略称:オルカン)です。これから、現金とオルカンで備える理由やそれぞれの保有割合について説明していきます。
現金と株式で備える理由
現金と株式は以下の表に示すように特徴が対照的です。そのため、それぞれのメリットを活かして、近い将来の支出には短期的な価値の変動が小さい現金で備え、遠い将来の支出には長期的に価値の上昇が見込まれる株式で備えています。以下でもう少し詳しく説明します。
安全性(短期的な価値の変動) | 収益性(長期的な価値の上昇) | |
現金 | 〇(小さい) | ×(物価上昇により減少) |
株式 | ×(大きい) | 〇(可能性が高い) |
現金の特徴として短期的な価値の変動は小さいが、長期的には物価の上昇により価値が徐々に低下すると考えられています。そのため、遠い将来の支出対策には向きません。物価推移の調査結果として、消費者物価指数というものがあります。2020年の物価を100ポイントとし、1970年から現在までの米類、麺類、魚介類、肉類、野菜・海藻における物価推移を以下のグラフに示しました。ものによって、推移の仕方は異なりますが、長期的には物価は上昇し、現金の価値が目減りしていることが分かります。

出典:政府統計の総合窓口「消費者物価指数」
一方、株式は現金と対照的で短期的な価値の変動は大きく、長期的には価値が上昇していくと考えられています。そのため、近い将来の支出対策には向きません。下図は米国において1802年に株式、長期国債、短期国債、金、ドルをそれぞれ1ドルずつ投資した際の、資産価値の推移を示しています。広く分散さえた株式は、短期的には他の資産と比較して大きな変動はあるものの、長期的には最も増加していることが分かります。

出典:ジェレミー・シーゲル, ジェレミー・シュワルツ著, 林 康史, 藤野 隆太監訳, 石川 由美子, 鍋井 理沙, 宮川 修子訳『株式投資』第6版 日経PB(2025年, P5)
また、下図は米国における株式、長期債、短期債について、1802年から2021年までの保有期間別の年平均リターンの最高値および最低値を示しています。広く分散さえた株式は、20年間近く投資し続ければリターンがマイナスになること(元本割れ)はありませんでした。

出典:ジェレミー・シーゲル, ジェレミー・シュワルツ著, 林 康史, 藤野 隆太監訳, 石川 由美子, 鍋井 理沙, 宮川 修子訳『株式投資』第6版 日経PB(2025年, P45)
オルカンに投資する理由
遠い将来の支出には長期的に価値の上昇が見込まれる株式で備えています。そのため、私たちは楽天証券を利用して「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(略称:オルカン)に投資しています。オルカンは以下のような全世界の株式に分散投資ができる投資信託で、「世界中の株のセット商品」のようなものです。

出典:交付目論見書「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(使用開始日 2025.1.25)
この投資信託を選んだ理由は、以下の3つのポイントを押さえており、「一生涯安心して保有し続けることができる」と感じたからです。それぞれのポイントを説明します。
・全世界の株式に分散されていること
・インデックスファンドであること
・手数料が安く、純資産総額が大きいこと
全世界の株式に分散されていること
株式投資の目的は遠い将来の支出に備えるためです。投資先として世界全体を選ぶことで、以下2つの理由から長期間安心して保有できると感じたため、決めました。
1つ目は投資先を特定の地域のみに限定した場合、もしその地域で大暴落が起きたり、数年間株価が伸びなかったりすると、「投資先が間違っていたのではないか」と不安が生じ、精神的に保有し続けるのが難しくなるからです。世界全体を選択していれば、そのような不安は生じません。
2つ目は、理論的に世界全体は投資先として最適解だとされているからです。現代ポートフォリオリ理論によると、世界分散することで短期的な価値の変動を抑えつつ、長期的な価値の上昇を最大化できるとされています。理論的にも信頼できる方法であり、間違った投資手法ではないでの自信をもって長期間投資を続けられます。
このような理由から、投資先として世界全体を選びました。
インデックスファンドであること
投資信託はインデックスファンドとアクティブファンドの2種類がありますが、インデックスファンドを選びました。(ファンドとは投資信託のことを指します)違いは以下の通りです。
インデックスファンド | アクティブファンド | |
運用目標 | 指数に連動する | 指数を上回る |
組入銘柄 | 指数の構成銘柄 | 市場や企業の調査分析を 行い選定 |
手数料 | 安い | 高い |
商品ごとの運用成績 | 差が小さい | 差がある |
インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIXなどの指数(インデックス)に連動することを目指す投資信託です。例えば、日経平均株価に連動するインデックスファンドであれば、日経平均株価が上昇すれば価格も上昇して、逆に日経平均株価が下落すれば価格も下落します。
アクティブファンドとは、ファンドマネージャーが市場の動向や企業分析を基に銘柄選定を行い、インデックスファンドの運用成績を上回ることを目指す投資信託です。
一見、アクティブファンドの方が運用成績が優れていそうですが、長期的にはインデックスファンドに劣ることが多いと知られています。アクティブファンドは、ファンドマネージャーが投資銘柄を積極的に売買するため売買コストが高いことや、手数料が高いことなどに起因すると言われています。実際、下記に示すように、2020年において5年間のアクティブファンドとインデックスファンドの成績を10カ国で比較した結果、各国ともアクティブファンドはインデックスファンドに負けています。そのため、インデックスファンドを選ぶことにしました。

出典:山崎 元, 水瀬 ケンイチ著『ほったらかし投資術』全面改訂 第3版 朝日新聞出版(2023年, P30)
手数料が安く、純資産総額が大きいこと
全世界株式の指数に連動するインデックスファンドは複数あります。各投資信託の手数料と純資産総額を比較検討することで、最良のものを選択できます。
■手数料
投資信託では、運用会社に資金の運用を委託するため、手数料を支払う必要があります。投資収益を圧迫する要因となるため、手数料が低い投資信託を選ぶことが重要です。主に以下の3種類の手数料があります。
・購入時手数料:投資信託を購入する際に支払う手数料
・信託報酬:投資信託を保有している間、支払い続ける手数料
・信託財産保有額:投資信託を売却する際に支払う手数料
インデックスファンドの場合、購入時手数料と信託財産保有額がないものが多いので、とくに信託報酬に注意を払う必要があります。
■純資産総額
投資信託の規模を数値化したものです。純資産総額が小さい投資信託では、経費のコスト率が高くなる可能性や、繰上償還のリスクが増えるため、一般的に100億円以上のものを選ぶと安心できると言われています。
信託報酬が0.1%未満で、純資産総額が100億円以上の全世界株式の指数に連動するインデックスファンドを表にまとめました(2025年2月時点)。信託報酬が最も低いのは「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」です。しかし、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬は「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」とほぼ同じで、純資産総額が飛び抜けて大きいため、選びました。
投資先 | 連動指数 | 信託報酬(年率) | 純資産総額 | 運用会社 | |
eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) | 世界全体 | MSCI ACWI | 0.05775% | 45,675億円 | 三菱UFJアセットマネジメント |
楽天・プラス・オールカントリー株式 インデックス・ファンド | 世界全体 | MSCI ACWI | 0.05610% | 1,771億円 | 楽天投信投資顧問株式会社 |
はじめてのNISA・全世界株式インデックスファンド (オール・カントリー) | 世界全体 | MSCI ACWI | 0.05775% | 200億円 | 野村アセットマネジメント |
現金とオルカンの割合
近い将来の支出は以下の通りですので、現金100万円程度で備えています。
・家電(洗濯機、冷蔵庫など)の買換え費用:数10万円
・家具(ベッドなど)の買換え費用:10万円程度
・旅行の費用:数万円~数10万円
残りのお金は、遠い将来の支出に備えるため、オルカンに投資しています。長期間保有した場合、年平均で5%程度のリターンは見込まれると言われていますが、以下のようなリスクが想定されます。そのため、投資する前に、これらのリスクに耐えられるか、検討しました。
・平常時、毎日~2%程度上下に変動する:例えば、毎日の変動で5万円までの下落に耐えられるのであれば、50倍の250万円までオルカンに投資することができます。
・暴落時、投資資産の3分の1程度の損失が生じる可能性がある:例えば、暴落の際、100万円までの下落に耐えられるのであれば、3倍の300万円までオルカンに投資することができます。
私たちは2021年から毎月、積立投資を続けており、毎日の価格変動はあまり気にならなくなりました。また、大きな暴落はまだ経験していませんが、当面の間、100万円単位の大きな支出は発生する見込みはありません。予期せぬ出費が生じた場合でも生活防衛費で対応することができます。そのため、残りのお金は、遠い将来の支出に備えるため、オルカンに投資しています。
NISAの活用
株式投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISAを活用することで、非課税にすることができます。NISAには、つみたて投資枠と成長投資枠の2種類の投資枠があり、それぞれ対象となる投資商品が異なります。オルカンは両方の枠で投資できるため、私たちはこの2つの枠を活用しています。
NISA | ||
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に 適した一定の投資信託 | 上場株式・投資信託等 |
年間最大投資額 | 120万円 | 240万円 |
生涯最大投資額 | 1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで活用可能) |
まとめ
私たちは、2人の小さな子供を育てながら、マイホームを所有している30代前半の夫婦です。将来、様々な支出が予想されるため、今から計画的に貯蓄を行っています。
将来の支出に備えるため、まず現金で生活防衛費として年間生活費の半年分程度を確保し、近い将来(5年以内)の支出には現金貯金をしています。遠い将来(15年~20年以上後)の支出には、楽天証券を利用しNISA制度を活用して「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(略称:オルカン)という投資信託に投資しています。
支出が発生する時期によって、現金貯金と株式投資を使い分ける理由は、現金は短期的な価値の変動が小さく安定性に優れていて、株式は長期的に価値の上昇が見込まれるためです。
この投資信託を選択した理由は、1つ購入するだけで全世界の株式に分散投資でき、さらに手数料が非常に安いなどの優れた特徴があり、「一生涯安心して保有し続けることができる」と感じたからです。
皆さんも、現金と株式それぞれの特徴を理解し、将来予想される支出を検討した上で、これらをうまく活用して、効率的に将来の支出に備えてみてはいかがでしょうか。